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2013年10月22日

けい眼な人・ふびんな人

秋は、ずるい悪魔だ。夏のうちに全部、身支度をととのえて、せせら笑ってしゃがんでいる。僕くらいの炯眼けいがんの詩人になると、それを見破ることができる。家の者が、夏をよろこび海へ行こうか、山へ行こうかなど、はしゃいで言っているのを見ると、ふびんに思う。もう秋が夏と一緒に忍び込んで来ているのに。秋は、根強い曲者くせものである。
(太宰治「ア、秋」より)



秋晴れとなった10月19日、あまり乗り気ではない妻と不機嫌な娘を連れて八幡平の焼山(1,366m)に行ってきた。

案の定、たかだか片道二時間の登山で筋肉痛・吐き気を訴えるふたりには呆れたが、寝起きに突然山に行くといわれ、登山に対する心の準備が出来ていなかった人間には少々酷だったかもしれない。

とはいえ、黙々と歩き続け無事に焼山の景色を見ることができた娘の精神的な成長を親として素直に喜びたい。(泣き言は「靴が濡れた・吐き気がする」の2回だけ)



『ここから本題』

抜けるような空の青と、紅葉に染まるブナの黄色は、そこにいるだけで日々の疲れを癒やしてくれる。

時折吹く冷たい北風が清々しく、枯れ葉を踏みしめる音がカサカサと耳に心地いい。
前日の雨空がうそのようだ。

登山開始から一時間半、お釜が見えてきた。
現在も火山活動を続ける噴火口には有毒ガスと温泉が噴き出し、荒涼とした風景が広がる。


【へっぴり腰(妻)と、四つん這い(娘)が噴火口を撮影する情けない姿(写真中央、やせ尾根の上)】

この日は二人の体力を考慮し山頂への登頂は断念。
やせ尾根の外輪山をトラバースし、硫黄臭漂う噴火口のほとりで昼食をとる。

山頂の気温は10度を下回るため、汗をかいた体には少々堪える寒さ・・・


【焼山山頂のお釜(硫黄臭をおかずに握り飯を頬張る)】

楽しい昼食のはずが、疲労と寒さから無言になる二人。
不穏な空気を察知し、小言を言われる前に早々と昼食を終えて湯ノ沢へ下山。

歩きはじめて数分、眼下に野天湯が見えてきた。
急な下り坂に苦戦する二人のことなど忘れ、私だけ一気に駆け下りる。


【秘湯 湯ノ沢の野天湯】

下山開始から20分。野趣あふれる野天湯はそこにあった。
強い硫黄の香りがなんともいえない。


【湯船は大小4つに分かれていた】

上流から流れてくるぬるいお湯と、沢から湧き出る高温のお湯とが混ざり合い、絶妙な湯加減だ。


【エメラルドブルーの湯船(湯船の底は、粗い砂とその上に沈殿する土の粒子がクッションとなりお尻に優しい。水深は30cm)】

指をさして笑う二人を尻目に、服を脱ぎ捨て生まれたままの姿になる。
湯船に一歩足を踏み入れると、土の粒子が一斉に舞い上がり乳白色の湯船となった。

ジョージ・マロリーは「そこに山があるから」と言い、わたしは「そこに温泉があるから」だっ、といっても二人には聞こえていない・・・
はしゃいで周囲の写真を撮り続けている・・・(少しテンション回復)


【至福のひととき(湯温は四十度といったところ。少々熱く常に掻き混ぜていないと沢から湧き出す高温の湯が湯船の上層をあっという間に覆い尽くしヤケドしてしまう)】

自然の中で素っ裸になり大地の息吹を全身で感じるひととき。
地球と同化した瞬間。
私の体は自然の一部なんだと実感する。


【湯ノ沢と焼山山頂】

しかし、至福の時はそう長くは続かない。
妻と娘は、まだかまだかと私を急かし、下山ルートも知らないくせにとっとと山を下りはじめる始末・・・。
ハァ・・・
これだから素人は困る・・・。
アウトドアの楽しみ方を理解できていない・・・。

心ゆくまで楽しみたいが・・・
後ろ髪を引かれる思いで湯ノ沢を後にした(せめて足湯ぐらいしなさい!!)。


【黄金の絨毯と化す「ベコ谷地」湿原と八幡平山頂】

二人は、山だ温泉だとはしゃぐ私を不憫に思っているのだろうか?
いやいや。炯眼なのは私である!

至福の時を共有するには、もう少々時間と人生経験が必要かな・・・


ゴールドマン  


Posted by のんびり探検隊2 at 08:00Comments(0)自然温泉山・湖・滝etc四季
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